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企画者とシナリオライターにおすすめ「ついやってしまう」体験の作り方 玉樹真一郎著

「ついやってしまう」体験の作り方

元・任天堂企画開発会社の玉樹さんと言う方が書いた本です

スーパーマリオをヒットさせた人です

マリオにはシンプルな構造でいながらも

実はついやってしまう、

つい夢中になってしまう体験が綿密に設計されていて

どうやったら人がのめり込むゲームを作れるかを

心理学的に、人間学的に説明している本です

どうやったら人を動かすことが出来るかと言う本でもあるので

企画、シナリオライト、ゲームデザイン、UXデザインのみならず

子育て、仕事のマネジメントにも

使える良本なんじゃないかと思います

例えば親だったら

我が子はポケモンの名前を全て覚えたのに

なぜ漢字は覚えられないのだろう??

おもちゃの片付けが出来ないのだろう?

など

論理的に解明しています

あとラジオ体操は腕を66回あげる運動って知ってましたか?

ラジオ体操は腕を66回あげる超めんどくさい運動なのに

あんなにノンストレスで毎日やっていたのは何故なのかなど

何故人が継続するかなど

この本は本当にkindleで買うのではなくて

アナログの本を買ってなんども読み直したい本です

面白かったところをいくつかピックアップします

ユーザーに寄り添うデザイナーとはなにか?

デザイナーなので特に気になりました

結論として

一般的に正しいとか良いと言うことを伝えるデザインではなく

わかるを優先するデザイン

が良い

主語が抜けてますが

サービスデザイナーに置き換えるなら

一般的に正しいとか良いサービスだと言うデザインより

それがいかにわかるかと言うデザインがユーザーに寄り添うということ

つまり

”わかってもらえなければ、サービスの良さを享受してもらえない”

と言うことでした

UI/UXで簡単な例をあげれば

多少ダサさを負っても

見やすいテキストサイズを保つ、であったり

ボタンをフラットデザインにしたいけど

ボタンがクリッカブルかわかるよう、インタラクションが起きるようにデザインするなど

そう言うことだと思います

まず、

1.わかりやすくサービスを理解してもらい

2.良いサービスだということを体感してもらう

これが逆転してしまうと良いサービスにはならないと言うことです

ゲームで言うなら

人は何故ゲームを遊ぶのか?

と言う答えはゲーム自体が楽しいからではなく

プレイヤー自身がゲームを通して得る直感体験が面白いから

と言うことです

そのために人の脳に備わっている

仮説と裏切りによるドーパミン、驚き、飽き、タブーへの侵入に対する興奮、リズム、穴を埋めたい心理、収集心

自発的な選択と裁量、伏線の謎、伏線回収によって起きる快感などの

基本的な機能を利用して

ユーザーの没入体験、

ゲームの主人公への共感に繋げ

またそれらを使い全体のシナリオ構成、画面レイアウトを紡いで行きましょう

ということが書いてありました

ユーザーのプライベートを引き出すというのも有効です

ドラクエで遊び終わった後も一番盛り上がる話題になるのは

自分のプレイヤー名であったり

ビアンカ/フローラ

どっちと結婚した?というものではないでしょうか?

いずれもユーザーのプライベートな好みを引き出したもので

それらは記憶に残ります

ただ、闇雲にユーザーから

プライベートな情報を引き出して萎えさせてもダメです

ゲームのなかで

うまい具合にプライベートな部分を引き出すことで

ユーザーの記憶に焼き付けることができます

話が脱線しましたが

結論として

一般的に正しいとか良いと言うことを伝えるデザインではなく

わかるを優先するデザイン

が良いと言うことです

クリボーや身勝手な同行者に与えられた役割

クリボーはマリオの第一番目の敵として出てきます

クソ弱いですが、なんのためにいるのでしょう?

それはルールを理解させるためにいます

こっちに行って正解だった!であったり

こいつをこうやっつけるんだ!であったり

ゲームの中の手がかりとして登場します

ゲームの序盤で出てくるキャラクターは

大抵プレイヤーにゲームルールを教えるために

デザイナーに生み出されます

そしてRPGでよくある

同行者はどんな役割を与えられているのか?

同行者は主人公へ問題を供給し続ける役割です

同行者は大抵面倒なやつです

主人公に問題を供給し、

序盤ではその同行者は面倒な振る舞いで

プレイヤーと主人公に

「こいつめんどくせえな」と共感させ、プレイヤーと主人公の目線を合わせることでゲームに没入させたり

終盤では同行者がかつてない危機に陥り、プレイヤーの判断を迫り、そして憎しみからの助け合いと言う成長を迫る役割も

担います

そう考えるとゲームに出てくる人というのは

役割を与えられて、生み出されるべくして生み出されているんですね

面白い発見でした

ゲームが終わった時、プレイヤーは家に帰るのは何故か?

冒険ゲームは時として

最後にスタート地点に戻るというシナリオになることがあります

それは何故でしょうか?

シナリオとして二週目がスムーズに行くから?

と思いましたが違います

ゲームデザイナー側ではなくプレイヤー側で考えることが重要です

プレイヤーは

ゲームが終わった時、

ゲームを始めた時と同じ場所に立つことで

自分がいかに成長したかということを認識します

そして2周目のゲームを始めた時に

自分の判断が変わっていることに直感的に気づくのです

それが最後にスタート地点に戻るというシナリオの意味です

面白いですね

終わりに

ゲームの事象、キャラクター、画面レイアウト、シナリオ

全てに意味があって作られています

子供が遊ぶゲームのマリオにヒゲがあり、帽子を被っているのは

なぜか?

それさえも意味があります

ユーザーにマリオのヒゲでマリオどっちの方向を向いているか

直感的に理解してもらうためです

そういう小さな設計を繰り返して

ヒット作品は作られていると知ると

まぐれで当たったんじゃないんだなと

実感します

企画者やシナリオライターにも

フレームワークを与えると言うか

これまで天からアイデアが降ってくるのを待っているスタイル

だった企画者、シナリオライターに

ヒットを作り、アイデアを具現化するロジックを与える本なのではないかと思います

めちゃめちゃオススメです!!