生粋のモラトリアム映画
物語に起承転結はなく、特別悪いわけでもないが社会と隔絶しているアウトローな青年がニューヨークの街中を徘徊する映画
タイトルのまま、主人公は人生をふらつき永遠の休暇を取っている
THIS IS モラトリアム
映像美と青年のが小説から引用した語り口と流れるサックスの音で観る人の興味を繋いでいる
音楽
この映画で特徴的なものが背景に流れ、作中にも登場する音楽
この映画と音楽はニューヨークでもニューウェーブでもないと監督自身が語っている
劇中にジョンルーリーというサックスプレイヤーが出てくる
終始映画の雰囲気を醸すBGMを流しているのもジョンルーリー
感想
何か忘れていたことを観ているような映画でした
ドウ ュゥっという音を聴いてひどく懐かしいと思った
思春期の全能感は感じなかった
KOHHってラッパーの「まぁしょうがない」って曲の感じの懐かしさ
心がフラットに戻るとよくいうけど、フラットに戻った場所がとてつもなく退廃していたらどうしたらいいのかという人間ばかりが出てくる
それがスタンダードでいる
主人公はずっと同じ場所にいると孤独を感じ
それから逃れる為に、街を歩き、人とあう
精神病棟に入った母親を見に行き、ドラッグに塗れた中年を見る、
ベトナム戦争帰りのゲリラ戦の悪夢に魘されている兵士を見る
この物語に起承転結はなくても、自分は物語を求めていて
あの精神病棟は家族のメタファーかもしれないなどと必死に解釈しようとしたが
結局そんな解釈に意味はなくて無駄だとわかる
もし無駄が嫌いな人間が見たら意味がわからないし、許せない映画なんじゃないかなぁと思いました
アウトローを引き立たせる対比としてのスタンダードで幸せな楽しそうな人間が一切出てこなくて
それが出てこないのが監督の美意識を感じる
これはアウトローの映画じゃなくてただの人間の映画なのかもしれないと思わせる
きっと誰しもこの映画を理解できると感じた映画でした