あの夏、いちばん静かな海。あらすじ
海辺に住むろうあ者のカップルが
次第にサーフィンにはまっていく様子を描く物語です
ろうあ者なんだけど
そんなにそこにフォーカスされてなくて
サーフィンと海がメインの映画
サーフィンをテーマに映像を撮る場合、始め方がすごい難しいというか
普通だったら
海でかっこいいサーファーを見てやりたいと思ってサーフィン売ってる店に行く
ということになるんだけど
この映画の場合は
ごみ収集の仕事をしている作業員の主人公が
海ぞいのゴミ捨て場に落ちてた壊れたサーフィンを拾うという流れで
すごい印象的なオープニングになってました
ろうあ者の主人公が
あまり人と会話しなくて良いごみ収集の仕事をしているというのも
観客に疑問を抱かせない自然な感じ
映画感想
1991年、北野武が制作した映画
自分はまだ生まれていない年代
映画の設定に対して生まれていないというのは変だけど
このファッションや街のデザインが90年代で新鮮だった
あと女の子の髪型もいいですよね
今はオルドスクールなんだけど映画の中では最新のニュースクールという
構図もすごくシンプルで背景を止めた映像が多かったです
なぜこの映画を見たかというと
最近好きなアーティストのTohjiが
メディアのインタビューで
尊敬する人は誰かという質問をされて
お笑いと映画界のパイオニアの北野武と答えていて
その北野武の中でも一番好きな映画はこの「あの夏、いちばん静かな海。」だ
と答えていたからです
Tohjiってこの映画のような静けさとは真逆の
アーティストなんだけど
そんな人間にもこういうの見て感動しているんだなと思って
ちょっと微笑ましいし意外でした
北野武に関しても
北野武の映画は全然見たことなくて
アウトレイジくらいしか知らなかったんですが
もう金、暴力、S◯X的なイメージしかなく
今と違って昔はこんな繊細な切ない系の映画撮ってたんだなぁという意外性がありました
他の座頭市とか見たことないので
見てみようかなぁと思います
あとから黒澤明と北野武の対談を見たんだけど
北野武は映画は自分の操れない構図は取らないといってて
それがすごくプロだなぁと感じました
そして説明が多すぎない
今回は一言も喋らない主人公二人という設定もありますが
主人公が喋らないし、表情にも全然出ないのが
わかりにくいとか飽きると思う箇所もあるけど
それでもそれはリアルな世界だから
それでいいと思います
毎日幸せだったり喜怒哀楽がある訳じゃない
99%は淡々と生活するのがリアルだと思う
こういう説明のない映画を
待っていられない時間の経つのが早い時代でもあるから
ぜひスマホの電源を切って一人で浸って欲しい映画
それとナレーションや会話の数がない代わりに
音楽が生き生きしていた
BGMじゃなくて音楽を差し込んでいるという印象
説明はなく、1時間くらいかけて状況を徐々に説明していく感じ
シーンの描写は静かでそれが音楽を生かしている
音楽が世界観を作って映像が補完しているような気さえする
最後画面に現れるタイトルと共に
バッドエンドではなく哀愁と悲壮感漂うエンディングが流れる
終わり